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引上大騒の節火中に飛込む心持の事

2014/06/27 22:31:45

テーマ:現代訳 宗久翁秘録

 


本日は、「現代訳 宗久翁秘録」からの抜粋、2回目です。

 

1.原文

目次

「米、段々上がる時、諸国不時申し出し、大坂相場も加え、跡も引き上げ候沙汰、御蔵米等申し立て、猶々上げ人気も強く、我も買気に付候節、心を転じ売方に付候事肝要也。是即ち、火中へ飛込思切、一統騒立節は、人々西に走らば、我は東に向ふ時は、極めて利運なり。人の戻る頃、遅れ馳に西に向ふては、何時も利を得ることなし。二ツ仕舞、三ツ十分、四ツ転じ、是第一三位の秘伝なり、忘るべからず。」

 

2.現代訳

相場が次第に上昇し出すと、諸国に風説が出回り、大阪相場も上げて来るので、ますます上げに勢いがついてくる。御用米買い上げの噂も流れ、猶も人気が高まり、自分も買い気に付きたいと思う時は、心を転じて売り方に付く事が肝要である。是即ち、「火中に飛び入る」思い切りである。人々が騒ぎ立っている折は、人が皆西に走れば、自分は東に向う時に、大きな利運に乗れるものである。西に向かった人が戻る頃に、遅れて西に向かっては、何時も利を得る事は無い。手仕舞いするには、2回目の売り方追証にて利食いに掛かり、3回目に全て利確し、4回目には途転する、これが三位の秘伝である、忘れるべからず。

 

3.私の解釈

この章のポイントは、「一統騒立節は、人々西に走らば、我は東に向ふ時、極めて利運なり。」であると思います。自分が買いたいと思う時は、回りも皆買いたい時であり、ややもすれば高値掴みになりかねません。ここでリスクを取って逆のポジションを取ることで、大きな利を得る事が出来ると言う意味だと思います。

相場に入る人の内、95%は利益を十分出せないか負ける人で、残りの5%の人のみが利を授かる人であると言われている事からも、核心を付いていると思います。

 

最後の三位の秘伝は、抵抗帯を抜ける度、投げが入る事と仮定しますと、出来高を伴った上昇(投げ)が2回出ると利食いに掛かり、3回目で全て手仕舞いする、4回目はあるかもしれないが、そこまで引っ張らない方が良い、と言う意味であると思います。手仕舞いは二回に分けて、これもポイントではと思います。